ゲキメーション映画「バイオレンスボイジャー」は
グロテスクで不条理で混沌とした悪夢冒険譚
現存する日本唯一の劇メーション映画監督(世界で唯一?)の宇治茶監督の最新作「バイオレンスボイジャー」の先行上映会に行ってきました。
素晴らしかったです。
こんなん観たことない!
まとまりのいい映画みて泣きたい人には「STAND BY ME ドラえもん」を観てもらうとして、まとまりのないカオスの詰まった魅力の塊みたいなものを体験したいのならこの「バイオレンスボイジャー」を観ていただきたいです。
私は宇治茶監督のファンで(画風、作風、監督のかわいい笑顔など)、劇場版映画処女作「燃える仏像人間」も映画館で拝見したのですが、相変わらずぶっとんでますわ。
ということで、ネタバレを含めた感想をつれづれに書いていきますよ〜。
出典:映画「バイオレンスボイジャー」ホームページ
- 映画「バイオレンスボイジャー」の映像手法劇メーションとは
- 映画「バイオレンスボイジャー」あらすじと予告動画
- 映画「バイオレンスボイジャー」ネタバレ感想|荒唐無稽な設定&どんどん仲間が死んでいくセオリー無視のストーリー展開
- 映画「バイオレンスボイジャー」ネタバレ感想|まとめ
- 宇治茶監督は吉本興業所属!?マニアックな作風を国内外に激プッシュする吉本興業に頭の下がる思い
- 吉本興業にはぜひ宇治茶監督を世界的有名な映像作家に育てて欲しい
- 映画「バイオレンスボイジャー」関連リンク
- おまけ|私が2010年に撮影した宇治茶監督
- 合わせて読みたい
※この記事は映画「バイオレンスボイジャー」の感想をバリバリ書いていきますので、ガンガンにネタバレしています。
映画「バイオレンスボイジャー」の映像手法劇メーションとは
劇メーション(ゲキメーション)は、アニメーションと漫画(劇画)を融合した表現方法。(Wikipediaより)
ざっくりいうとペープサートみたいな感じで製作された動画です。
<ペープサート>
楳図かずお原作のテレビアニメ「妖怪伝 猫目小僧」は劇メーションの手法で製作されています。
それ以降は宇治茶監督以外は劇メーションで映像作品を作った人はいないみたい。
劇メーションの長編作品は世界初とのこと。
<元祖劇メーション「妖怪伝 猫目小僧(1976年)」>
映画「バイオレンスボイジャー」あらすじと予告動画
<ざっくりしたネタバレありのあらすじ>
「バイオレンスボイジャー」は田舎に住んでいる2人の小学生「ボビー」と「あっくん」が、迷い込んだレジャー施設「バイオレンスボイジャー」を探検する物語です。
実はその施設のオーナー「古池」こそが悪者で、遊びに来た子供をさらって、人体実験を施し、自分の子供「たかしくん」の食料としていたのです。
日が暮れても帰らないボビーを心配したボビーの父親「ジョージ」は、施設に潜入することに…。
<予告編>
映画「バイオレンスボイジャー」ネタバレ感想|荒唐無稽な設定&どんどん仲間が死んでいくセオリー無視のストーリー展開
「バイオレンスボイジャー」は普通の映画だと思って観に行くと裏切られます。
設定とかむちゃくちゃだし、脚本とかまあまあ破綻してます。
何が怖いってまず悪者じゃなくて、登場人物全員が怖い。
グロいんですわ。
準主役として登場するサバンナ高橋が声優を演じる「あっくん」。
もうね、見た目がめっちゃ怖い。
作中でいっさい説明はないんですが、頭に肉割れがあるんです。
敵キャラよりも見た目が怖い。
出典:https://gifmagazine.net/users/83069/profile
あっくんは、頭の部分メロンパンみたいなんだよ。
あと、敵キャラとして登場する「古池」。
見た感じ頭の禿げ上がったアラフィフくらいのおっさんなんですけど、ホットパンツ履いてるんですよ。
太ももまるだしのハーフパンツ姿のおっさんなんて違和感しかないよ。
でも、そしてそれについては最後まで言及もない。
他にもずっと舌が出てるキャラ(すぐ死ぬ)とか、禿げ上がったおっさんにしか見えない少女(すぐ死ぬ)とかも出てくるよ。
薄々お気づきかもしれませんが…
映画「バイオレンスボイジャー」では、つっこみどころ満載なキャラクターたちが、山ほど出てきて、大した活躍もせずに続々と死にます。
子供たちが迷い込んだレジャーランドは実はオーナーが子供たちを人体実験の被験体にし、自分の子供のための生贄にするための罠だったという設定。
これ自体はまあ伏線とかどんでん返しとかないけど、アリっちゃアリ。
アリよりのアリ。
映画の序盤、レジャーランドと思っていたら本物の敵が現れて困惑する主人公と相棒を、先に迷い込んでいた子供たちが助けるという展開がパニック映画のセオリー通りだったので、私は思ったのです。
こいつら集団で移動して、団結したり仲間割れしたりして、徐々に雑魚キャラからやられていくんだろうな…
ノォォ〜(NO)!!!!
名乗った数分後に子供の集団はバラバラに。
名乗った意味ないやん!って突っ込みたくなるほど見せ場もなく次々とみんなやられます。
準主役と思っていたサバンナ高橋演じるあっくんも、見せ場もないままいつのまにか死んでた…。
主人公のボビーを助けにやってきた父親のジョージ。
彼がボビーたちを救い出すに違いない!と思ってたらお前も死ぬんかーい!
後半ボビーは桃太郎ばりに動物たちと一緒に冒険するんだけど、やっぱり動物もみんな死ぬんかーい!
ざっくざく犬死にしていく登場人物にもはや爆笑だよ。
清々しいほどにみんな血まみれっ!
目玉が飛び出したり、内臓がむき出しになったりとグロテスクなイラストを、宇治茶監督の圧倒的な画力で描いています。
ホラー映画特有の残酷描写とか、びっくりさせる演出とかもなく、みんな血まみれ。
ある意味ホラー映画よりホラー。
舞台挨拶で、声優を務めたココリコ田中さんが、4月の沖縄国際映画祭の上映会で、「バイオレンスボイジャー」を観に来てた子供たちが「最初みてたんだけど、こわくて出てきちゃった」って、言ってたという話があったのですが、そらそうだろうなっていう…。
不条理にどんどん人が死ぬにも関わらず、作品全体はシュールなギャグ要素が強いんだよ。
映画「バイオレンスボイジャー」ネタバレ感想|まとめ
映画「バイオレンスボイジャー」は、はっきりいうと悪夢みたいな話なの。
つじつまとか合わないけど、すごい勢いで話がどんどん進んで、渦にのまれるみたいに引き込まれていきます。
んなわけあるか!
設定の意味がわからん!
展開が強引すぎる!
突っ込みどころは山ほどある。
いや、突っ込みどころしかない。
でも映画「バイオレンスボイジャー」はあらがえない魅力がある作品なんですっ!
上映の83分間。
つまり1時間23分もの間、心の中であれこれ突っ込みながらも、もう一人の私が言うのです。
なんかスゲー!こりゃスゲー!
私は今えらいもん観てるで!!
映画「バイオレンスボイジャー」は、意味や共感、正義や道理を求める人にはオススメできませんが、摩訶不思議な世界観を楽しみたい人には最高の娯楽作品だと思います。
こんなシュールでぶっとんだ映画、ほかじゃあまずお目にかかれないです。
宇治茶監督は吉本興業所属!?マニアックな作風を国内外に激プッシュする吉本興業に頭の下がる思い
私はこの作品の監督の宇治茶のファンで、前作の「燃える仏像人間」も観たし、ていうか彼が大学生の時に発表した「宇宙妖怪大戦争」のDVDも持ってるんです。
何すごいって、宇治茶の映画作品…
頭おかしいままスケールが大きくなってるで…
宇治茶監督は今作から、吉本興業の映画会社「KATSU-do」に所属しているようなんです。
だからこそ、世界中の映画祭に出品したり、声優さんにダウンタウンの松本人志や、サバンナ高橋、ココリコ田中、田口トモロヲなど豪華キャストをむかえたりと、マニアックなアングラ作品なのにめっちゃ日の目を見る大々的なプロモーションかけてもらってると思うんです。
何がすごいって吉本興業は、宇治茶をブラッシュアップしてないんですよ。
お金かけてプロモーションするから、もうちょっとソフティケートした万人向けの脚本をとか、共感を呼べるような主題でとか、そんな手を加えた形跡がない。
ダイヤモンドの原石みたいな宇治茶。
宇治茶作品は、洗練されることなくスケールアップしているんです!!
彼を磨いてすり減らすのではなく、のびのび育てて原石のままでっかくしたような感じが激アツ!
先行上映会、司会はバッファロー吾郎の竹若、ゲストにココリコ田中。
メディアやプレス関係者がいっぱいいて、写真撮影とかもしていて。
マニアックの権化みたいな作品なのに、吉本興業のパワーでプロモーションかけるから豪華なんすよ。
▼ちゃんと翌日にエンタメ系のニュース出てるし▼
映画「バイオレンスボイジャー」の荒削りな衝動や宇治茶監督のトラウマを体現したような超マニアックな作品が、こんなに日の目をみるとか普通ないし!
マジで奇跡を目撃できたような感動があります。
吉本興業にはぜひ宇治茶監督を世界的有名な映像作家に育てて欲しい
宇治茶の監督作品「バイオレンスボイジャー」「燃える仏像人間」どちらも脚本の主題は共通していて。
子供が人体実験されて…的なやつなんですけど。
これうまく描ききったら最高におもしろくなりそうな気がするんです。
ドラえもんの映画みたいなしっかりキャラクターのたった4人か5人の子供たちの大冒険活劇みたいなやつで、次回は脚本をパニック映画のプロみたいな人に書いてもらって欲しい。
吉本興業所属なら一番あり得ると思うんですけど、松本人志監督作品のシーンを担当してほしい。
椎名林檎とかDIR EN GREYとかの、日本を代表するような有名アーティストのMV作ってほしい。
もしくは若手なら、岡崎体育とか、眉村ちあきみたいな、コミック色もメジャー感もあるアーティストとか。
ゆくゆくはマリリンマンソンとかのMVも作ったりして、病み系の鉄拳みたいになってほしい!
吉本興業さんっ!宇治茶を世界的に有名な映像作家に育てて欲しいです!
映画「バイオレンスボイジャー」関連リンク
宇治茶監督Twitter
> 宇治茶 ujicha 映画「バイオレンス・ボイジャー」令和元年5月24日公開! (@ujitea55) | Twitter
おまけ|私が2010年に撮影した宇治茶監督
2010年の宇治茶です。
かわいい。
何度みてもめちゃくちゃ萌える。