私はフィギュアをつれて東京めぐりをしています。
景色だけだと味気ない写真も、モデルさん(フィギュア)がいるといきいきしてくる気がするし、何よりすんごい楽しい。
いつもポケットにフィギュアを忍ばせて、観光地でも定食屋でもどこでもパシャパシャ撮影しています。
この楽しさを広めたい。
ということで、トイストーリーのウッディを連れて電車で日本一周撮影旅行をした猛者、見嶋戸隠さんにインタビューをお願いしました。
見嶋さんのInstagramは8200人以上のフォロワーがいる人気アカウントで、私もいつもこそ見を楽しませていただいています。
専属モデル(ウッディフィギュア)就任の秘密や、撮影のコツや醍醐味など、広く深くお話ししていただいています。
これを読んだらあなたもフィギュアとお出かけしたくなる!?
ウッディを連れて全都道府県やフランスで撮影旅行
—見嶋さんのプロフィールを教えてください。
見嶋戸隠:1982年生まれ36才茨城県出身です。
—どういうきっかけでウッディを連れて(持ち運んで)旅に出ることになったのでしょうか?
見嶋戸隠:元々は地元でエクステリアプランナーとして庭をデザインしていました。
庭の完成後、個人的な楽しみのためにこっそり庭にアイアンマンなどのフィギュアを置いて撮影していました。
最初は楽しかったのですが、実物の庭のサイズとフィギュアのサイズに違和感を覚え、程なくして止めてしまいました。
たまたま時間に余裕がある時期があって、せっかくだからかつて好きだったこと・今までやりたくてもやれなかったことを沢山やろうという気持ちになり、昔好きだった桃鉄の真似として電車での日本一周とフィギュア撮影を同時にしようと思い計画を進めました。
—それはいつ頃ですか?
見嶋戸隠:旅は2015年の春にしましたが、旅に出るまでウッディを外に出して撮影したことはありませんでした。
全てはぶっつけ本番でした。
—旅のパートナーとして、ウッディを選んだ理由は何ですか?
見嶋戸隠:1/6のホットトイズのアイアンマンやウルヴァリンなどを撮っても心が踊らなくなったのはサイズ感が原因だと感じた私は、1/1のサイズの世界に置いても違和感のないフィギュアを探すことを最初に始めました。
結果、おもちゃが人間に内緒で動き出すトイストーリーの世界観の登場人物を起用することが一番自分の中で納得がいったので、ウッディを選びました。
海洋堂のウッディは視線も変えられるので、ほかのフィギュアにはない表情や物語性を付加することができ、我ながらベストな人選であったと思います。
—トイストーリーウッディとバズがダブル主演ですが、旅の相棒をバズではなくウッディにしたのはなぜでしょう?
見嶋戸隠:バズも海洋堂から出ていますが、顔が小さく手足の可動域も小さいため動きのある写真は撮れないので、脳内の最終オーディションで落としました。
やはり昔の銀幕スターのようにある程度顔の大きいウッディの方が写真映えします。
—今までまわった都市名や、国名を教えてください。
見嶋戸隠:ウッディを連れて回ったところは日本なら全都道府県、海外はフランスのパリのみです。
—いろんな表情でいろんな服装のウッディが登場しますが、ウッディは何人かいるのでしょうか?それとも着替えさせているのでしょうか?
見嶋戸隠:ノーマルウッディ(個人的にファーストと呼んでいます)、フランス仕様のナポレオンウッディ、イギリス仕様の近衛兵ウッディ、国や場所を選ばずにどこにでも違和感なく溶け込めるウォーリーウッディの4人です。
ナポレオンウッディには白馬ブルズアイがセットになっています。
一体一体の服を改造してあるので、着替えというものは基本的にはありません。
—なるほど、シチュエーションに合わせて4人のウッディがいるんですね。
ヴェルサイユ宮殿ではガイドさんに協力してもらって撮影
—一番思い出に残っている撮影ポイントはどこですか?面白いエピソードなどがあれば教えてください。
見嶋戸隠:どれもいい思い出の写真ばかりですが、思い出深いのはヴェルサイユ宮殿内の撮影です。
朝イチのツアーで行ったのですが、宮殿の門の所でウッディの撮影をしている様子がツアーのガイドさんにとって面白かったらしく全面的に協力してくれました。
—協力?
見嶋戸隠:後ろから迫ってくる別のツアー客に追いつかれないよう配慮してくれたり宮殿内の警備員?のような人たちにこういう目的で写真を撮ってるから邪魔しないであげてほしいとフランス語で伝えてくれたり。
—おお!それは頼もしいですね。
見嶋戸隠:ガイドさんのお陰で大勢の中国人観光客に埋もれることなくウッディを撮ることが出来ました。
—逆に苦労話などはありますか?
見嶋戸隠:大変だったエピソードで思い出すのは夕方の京都の安井金比羅宮での撮影です。
そこには潜ることで悪縁を断ち切ることができる穴があるのですが、ウッディをくぐらせていたらいつのまにか右手がなくなってしまいました。
白砂利の中に入ってしまったかと思い、日没が迫る中必死に小さな右手を探しました。
見嶋戸隠:無事に見つかったのですが、何故こんなところに?と思うほど遠いところに落ちてました。
—ひえ〜。観光客の足にまきこまれて遠くに移動していったのかもしれないですね。
見嶋戸隠:他には、まだウッディ撮影を開始した頃は恥ずかしさがありサッと置いてサッと撮影しすぐに撤収というのがパターンでしたが、後半になってくると人の視線が気にならなくなり、ベストショットが撮れる瞬間までウッディを置いて撮影タイミングを堂々と待てるようになりました。
—あ、わかるかも。私もです。
見嶋戸隠:京都の伏見稲荷大社の山道では、ウッディを階段において人が途切れる一瞬のために10分ほど待っていました。
ちなみに京都入りしたのはゴールデンウィークの真っ只中でした。
—見嶋さんにとって、今までの中でベストショットの写真はどれでしょうか?
見嶋戸隠:これも選び難いのですが、パリの凱旋門前での写真です。
快晴な上に、ちょうど台座として使える壊れた街灯があったので、これ以上ないほどの写真に仕上がったと思います。
見嶋戸隠:あと、鎌倉駅近くにあるミニチュア専門店イクスタンの店員さんにフランス行くからフランスっぽいもの下さいと相談して出してもらったÉvianのボトルをエッフェル塔前でウッディに持たせた一枚もお気に入りです。
— 今後ウッディと行ってみたい場所はどこですか?
見嶋戸隠:改造までして準備万端だったのにタイミングを逸してしまい未だ行けていないイギリス・ロンドンには早めに行きたいです。
他にはアメリカ・ニューヨークですね。
世界一有名な都市をバックにアメリカ人(?)のウッディをたくさん撮りたいです。
その時はNYPDのハイウェイパトロールの格好にさせる予定です。
いずれは世界六大陸でも撮影したいですね。もちろん南極にも行きたいです!
—フィギュアと旅に出る醍醐味って何だと思いますか?
見嶋戸隠:好きなフィギュアと一緒に行きたい場所を巡ることで、その場所1つ1つに物語性が生まれることでしょうか。
—といいますと?
その場所に来るのにどうやって来たのだろうか、となりに映っているキャラクターとはどんな話をしているのだろうか、など。
—なるほど。フィギュアがないとただの旅行の観光写真か、風景写真でしかないですもんね。フィギュアがいることで写真にストーリーを楽しむ余白みたいなものが生まれますよね。
撮影のコツは恥ずかしがらないこと
—撮影のコツなどあれば教えてください。
見嶋戸隠:色々あるかとは思いますが、まず恥ずかしがらないこと。
次に慌てないこと。
撮影後、現場に忘れ物をしないこと(小物があるフィギュアの場合は特に)。
—私はフィギュアをどこかに忘れてしまい、帰宅後気づいて、翌日1日中探し回ったことがあります。1ヶ月いじょうたってから、最初に立ち寄ったすき家から出てきました。
見嶋戸隠:一眼レフとか高いカメラもいいと思いますが、フィギュア撮影に関してはiPhoneなどスマホでの撮影がベターと思います。
本体が薄く小さく、レンズも本体上に付いているため小さなフィギュアを下から見上げての撮影も簡単に撮れます(大きなカメラだとそれは難しいと思います)。
—カメラが小さいとこまわりがきいて、機動力があがりますしね。
見嶋戸隠:安定性の悪いフィギュアの場合は、如何にして立たせるかも重要だと思います。
スタンドを使って立たせるのは簡単ですが、スタンドが写り込んでしまうと魅力が半減してしまうと個人的には思います。
ウッディも決して安定性は良くない上、撮る場所も平らなところばかりではなかったので、日本一周の際はお供にオリジナルの猫ロボを連れて行きました。
見嶋戸隠:四本足の猫に跨がれば安定性の問題もクリアできる上に表現の幅も広がると思ったからです。
最新作のウォーリーウッディは踵にネオジム磁石を埋め込んであるので、鉄製の所なら片足でも立つし壁や天井にも張り付くことも出来ます。
—なるほど、工夫がたくさんで参考になりました。貴重なお話をありがとうございます。
見嶋戸隠:フィギュア撮影とは関係ないのですが、日本一周中に訪れた全都道府県のお土産で作った日本地図も個人的にお気に入りです。
ただサイズを考えてなかったため実際の県の面積と比例してないので、また日本一周する時は事前にお土産のサイズを計算しておこうと思います。