イギリスのロックバンドQueen(クイーン)。
1970年代にデビューし、ドラマチックな展開のメロディーに、ギターやコーラスを重ねた荘厳なサウンド、探究心溢れる面白み溢れる音楽性で、Queen(クイーン)ならではの唯一無二の世界観を築き上げました。
2018年には夭折したボーカリスト、フレディー・マーキュリーを描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒット。
リバイバルブームは記憶に新しいはず。
クイーンに影響を受けた音楽を探せ!「Queen遺伝子探究堂」インタビュー
今回のインタビューは、Queen(クイーン)に強い影響を受けたアーティストや楽曲を発掘するWEBやTwitterで「Queen遺伝子探究堂」を運営しておられるVARUBAさんに、Queen(クイーン)の遺伝子とは何ぞや?というブログの主題や、探し始めたきっかけ、Queen(クイーン)の遺伝子を感じさせるオススメのアーティストを教えてもらいました。
- クイーンに影響を受けた音楽を探せ!「Queen遺伝子探究堂」インタビュー
- 宇多田ヒカルもQueenの遺伝子を受け継いでいる
- クイーンの魅力は他のバンドでは聴いた事のない声の壁
- Queenの遺伝子探しのきっかけは、雑誌のフォロワーバンド特集
- 一瞬のアレンジや、メロディラインからQueenの遺伝子を探す面白さ
- 「Queen遺伝子探究堂」のサイトではクイーンの遺伝子を感じるアルバムを140枚を紹介
- 「Queen遺伝子探究堂」関連リンク
宇多田ヒカルもQueenの遺伝子を受け継いでいる
—VARUBAさん、まずはじめにQueenの遺伝子とは、どのような音楽のことをさすのか教えていただけますか?
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):サイトの“クイーン遺伝子探究堂”の方では、
- 一、QUEENのことをこよなく愛しており、あえて似せた音を奏でているミュージシャン。
- 二、QUEENと同時代に意識的・無意識とわず、QUEENみたいな音を奏でていたミュージシャン。
- 三、QUEENのメンバーが尊敬し、自身の音楽に取り入れたであろうミュージシャン。
と、定義しています。
—なるほど。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):ただ、サウンドがクイーン風ではなくても、クイーンへのリスペクトが伝わって来るアーティストもクイーン遺伝子に認定しています。
例えば、宇多田ヒカルさんの「Animato」という曲では
Singing along to F. Mercury
Wishing he was still performing
という歌詞が歌われているので、リスペクトが伝わってきます。
クイーンの魅力は他のバンドでは聴いた事のない声の壁
—まずはクイーンの音楽に、惹きつけられたきっかけや、どんな部分に特に魅力を感じるのかを教えてください。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):一番最初にクイーンを聴いたのは中学生の頃。
1993年に発売された洋楽コンピCDの『NOW1』が姉の部屋にあって収録の「伝説のチャンピオン」を聴いたんですが、正直ピンとは来ませんでした。
—なつかしい!『NOW1』すごい流行りましたよね。レンタルしてカセットにダビングして持ってました。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):洋楽への目覚めは高校の時で、深夜にドリアン助川がやっていた【金髪先生】という海外アーティストを紹介する番組を見たのがきっかけです。
その中でクイーンを取り上げていて、近所のレンタルCD屋で『グレイテストヒッツ』を借りて、ダビングしたカセットを死ぬほど聴きました。
顕著に惹かれたのは「バイシクルレース」と「ボヘミアンラプソディ」の二曲で、多重コーラスの声の厚みが独特というか、他のバンドでは聴いた事のない声の壁でした。
—へえ〜、「伝説のチャンピオン」じゃなくて、「バイシクルレース」と「ボヘミアンラプソディ」にしびれたんですね。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):人間の声を分厚く重ねると、とてもアンチヒューマニックなプラスティックな質感のサウンドになると思いました。
しかも、レコーディングで、同じメンバーの声をキーをずらして何重にも重ねるのは、とても人工的な加工品のような気がして、ポップアートの一つの形として。
そういうサウンドが、当時から何故か好きでした。
Queenの遺伝子探しのきっかけは、雑誌のフォロワーバンド特集
—VARUBAさんが、Queenの遺伝子(クイーンに影響を受けた楽曲)を探し始めたのはいつ頃ですか?
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):1998年に高校卒業後、地元の津田沼でアルバイトの日々を送っていました。
その年、シンコーミュージックから発売されたハードロック雑誌『炎』12月号の中に【オペラ座の子供たち】という寄稿があり、メタル系中心に様々なフォロワーバンドの紹介がありました。
—でた『炎』!ハードロックヘビーメタル専門の音楽雑誌『BURRN!』の姉妹誌ですよね。読み物に特化してかなり深い特集組んでた印象があります。
『炎』(1998年12月号、シンコーミュージック)
— YOUCHARIST (@youcharist) 2018年11月29日
ある方のツイートが目に留まり、思い出した。
そうそう、『炎』最終号の特集がQUEENだった。
ちょうど20年前。
毎号買っていた。
全巻、読み返したい。。(そんな時間はない)#炎#QUEEN#シンコーミュージック#バーンコーポレーション pic.twitter.com/V3HhdlAiPP
※参考ツイート
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):ブラインド・ガーディアンや、ラフ・シルク等、ジャーマンメタルに間接的影響を受けたバンドがいる事や、オランダのロビー・ヴァレンタインとヴァレンシア、あとUSのモーツァルトというバンドが、直接的にQUEENのサウンドを継承していると情報があり、興味を持ちました。
また、同号の記事の中で、クイーンに似たバンドとして、パワーポップのJellyfish(ジェリーフィッシュ)の紹介もありました。
メタル以外のジャンルにもクイーンの影響があるのだと、面白く感じました。
—なるほど。VARUBAさんは、『炎』の特集がきっかけでQueenの遺伝子を掘り下げていくことになったんですね。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):98年の『炎』12月号で取り上げられていたバンドのCDはすぐさま、地元のディスクユニオンと新星堂で買い揃えました。
—買い揃えた中で遺伝子探しにはまるきっかけになったアーティストっていますか?
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):ロビー・ヴァレンタインは鮮烈でした。
ファーストアルバム『ROBBY VALENTINE』の日本盤のボーナストラック「Valentine's Overture PartI」は、10分以上の大曲なのですが、これでもかという濃厚なクイーンサウンドと「ボヘミアンラプソディ」のような曲展開に、打ちのめされました。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):また、97年にT.レックス・トリビュート・アルバム「BOOGIE WITH THE WIZARD」というのが発売され、中学時代からイエローモンキーが好きだったので購入したんです。
—当時トリビュートのCDブームありましたよね。私も忌野清志郎とか矢沢永吉、西城秀樹、モット・ザ・フープルとか、いろいろ買ってました。T.レックスがあったのは知らなかったなあ。ぜひ聴いてみたいです。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):その中に収録されていたROLLYと永井ルイがカヴァーした曲「ザ・グルーヴァー」が、クイーンの「Now I'm Here」っぽかったんです。
—なんと!?T.レックスのトリビュートで、クイーンアレンジですか。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):そこからゆり戻って、すかんちを聴き直すのですが、クイーンっぽい曲が沢山あって、ひとりニンマリしていました。
当時ここまでビビッドにクイーンのアレンジをしているのは、海外ではロビー・ヴァレンタイン、日本ではROLLY位だったと思います。
—ROLLYのT.レックスのトリビュート、すごいクイーンの再現度ですね。突き抜けてますね。笑
一瞬のアレンジや、メロディラインからQueenの遺伝子を探す面白さ
—VARUBAさんにとって、Queenの遺伝子を探すことの、面白みや楽しさってどんなところですか?
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):クイーン的なアレンジというのは、レッドスペシャル(ブライアン・メイの愛用ギターの名前)的なギターだったり、重厚なコーラスだったり、かなりサウンドカラーが強いと思います。
—はい。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):フォロワーのミュージシャンでも、リスペクトと模倣のラインが曖昧で、御法度的な手法だったりするんじゃないかなと。
実際、中途半端なアレンジでは、クイーンファンからの批判も出てくると思いますし、“パクリ”の烙印も押され兼ねない部分だと思います。
—特に最近はSNSなんかだとオマージュやパロディにも盗作とか著作権とか、なかなか手厳しいですよね。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):ただ、そのあたりは、録っているミュージシャンは百も承知の上で、あえて録っているので、その勇気は讃えたいと思っています。
それと同時に、耳の肥えてないリスナーでは、聞き逃してしまう一瞬のアレンジや、メロディラインなどを、きちんと見つけてあげたいという思いもあります。
そうする事で、クイーンへの愛情を、直接的・間接的に表現しているミュージシャンと、裏で繋がれるような感覚になれるのは面白いですね。
—わー!マニアックの極み!!でもちょっとわかる!私は似てるジャケ写とオマージュMV探しが趣味なんですけど、それをさらに深く掘り下げた感じなのかな。
「Queen遺伝子探究堂」のサイトではクイーンの遺伝子を感じるアルバムを140枚を紹介
—VARUBAさんはいつ頃から、WEBメディア「Queen遺伝子探究堂」の活動を開始されたんでしょうか?
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):2005年頃に、今は休刊になってしまったロック誌『ストレンジ・デイズ』に入社して、リイシュー関連の仕事をしていました。(入社の目的は、クイーン遺伝子を探したいというのが本心でした(笑))
その頃から「Queen遺伝子探究堂」サイトは、制作しやっているんですが、ツイッターが登場してからは、そちらでの紹介が多くなってしまい、サイトの方の更新を全然していませんでした(汗)
—あらまあ!そうなんですね。でもかなりのデータベース量とお見受けしますが。
VARUBA(Queen遺伝子探究堂):
最近やっとデータベース化したサイトに作りなおした位で、140枚前後です。
▼WEBメディア「Queen遺伝子探究堂」▼
上記のサイトで紹介できていない、多くのクイーン遺伝子が、僕の脳内データベース(笑)にはありますので、ちょっとずつこれから更新していこうと思います。
—VARUBAさんの脳内データベースを、ネットで閲覧できる形にしたら、世界に誇れるすばらしい記録になりそうですね。更新をお待ちしております!
インタビューの内容があまりにも濃いので、記事を2つに分けます。
次回は2020年現在、人気のアーティストでQueen(クイーン)の遺伝子を感じるアーティストを紹介し、VARUBAさんが特に面白いと感じた、オススメの3曲を伺います。
お楽しみに!
クイーンオマージュソングランキングベスト5も作成!
「Queen遺伝子探究堂」関連リンク
「Queen遺伝子探究堂」と、VARUBAさん関連のリンクです。
>ホームページ:Queen遺伝子探究堂 | Queen DNA INVESTIGATION
>togetter:QUEEN遺伝子探究堂(@DNA_Queen)さんのまとめ(93) - Togetter
>VARUBAさん運営メディア:Experimental music Experience